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絵 本

 題 名 ひとのいいネコ
  南部 和也
  田島 征三
 発 行 小学館 / 2001年1月
 サイズ 28.5 x 22cm ・ 32ページ
 かっこいーヤツなのです。「ひとのいいいネコ」のホルスは、すごくかっこいいのです。
 最初にホルスを見た時は、「なんじゃこりゃ、覆面プロレスラーか。いやいや、パンクロッカーかもしれない。もしかしたら、歌舞伎役者じゃないだろうか」、なんてことを思ってしまいました。だって、そんな顔をしているのですから。

 ホルスは、「ひとだすけ」がだいすきです。「ひとだすけ」をするホルスを見ているうちに、なんじゃコリャの顔が、かっこよくなってきたのです。

 ホルスは、森の中でお腹をすかせて倒れていたノミも、自分の血を吸わせて助けてあげます。そして言うのです。
 「ぼくは、ひとだすけがすきなのですから」
 なんて美しい自己犠牲の精神を持ったネコなんだ!  と、私は、ちょいとわき腹をかきながら思いました。

 元気になったノミは、子どもを生んで、10匹、100匹と、どんどんと増えていきます。ノミたちは、ホルスに出会うたびに、「血をすわせていただけないでしょうか」と言って、ホルスの血を吸いました。
 そしてとうとう1,000匹以上のノミが、ホルスの前に現れます。
 私は、どうするんだホルス?  1,000匹のノミだぞ。死にそうになるくらいにかゆいぞ!  と、思いながら体中をかきむしりました。。。

 何で、「ひとのいいホルス」が、こんな苦しみを味あわなくちゃいけなかったのでしょうか。
「ぼくは、ひとだすけがすきなのですから」、こんなことを言っちゃいけなかったのか? 人助けをするなら、黙ってやれということだったのか? それとも、自己犠牲の精神をノミに試されたのだろうか?

 でも、そんなことどうでもいいやと思いました。最後のページの奥付の上に描かれた絵を見ると、ホルスは、「ひとだすけ」をこれからも続けていくような気がしたからです。
 おそらく悟りきっていないと思えるホルスの顔が、私は共感できて大好きです。

ひとのいいネコ

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