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絵本

 題名 オオカミのごちそう
  木村 裕一
  田島 征三
 発行 偕成社 / 1999年4月
 サイズ 24 x 28cm ・ 32ページ
 オオカミが、コブタを追いかけます。
 鬼ごっこをしているわけではありません……
 食べるためです!

 食欲は本能です。
 食べれば治まりますが、おいしいものを食べたいという欲望は、きりのないものです。

 「あの食材を食べてみたい」
 「もっとおいしい味付けがあるはずだ」
 「季節のものを味わいたい」

 ……などというのは、生きるために腹を満たすという、動物としての食欲の本来の目的とは違うものです。
 ただし、このような欲望は、とても人間的です。

 オオカミは、最初に一度だけコブタを取り逃がしてしまいます。
 これが、失敗でした。
 再びコブタを追いかけているうちに、オオカミは、食欲を満たすことを忘れて人間的な欲望にとりつかれるのです。

 悲しいことです!

 野生の中で一番大切な食欲を無くしたならば、生きていくことはできません。
 オオカミの体を見れば分かります。
 コブタを追いかけていくうちに、ものすごく痩せていくのですから……
 最後は、針金のような体になってしまいます。

 それでもオオカミは、欲望を捨てきれないで、おいしいものを思って涙を流しているのです。
 ……あまりにも悲しくて、笑いが込み上げてきます。

 悲劇のような紹介ですが、とても楽しくて笑える絵本です。

題名:オオカミのごちそう

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