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絵本

 題名 お月さまってどんなあじ?
 絵・文 ミヒャエル・グレイニェク
  いずみ ちほこ
 発行 セーラー出版 / 1995年9月
 サイズ 30 x 21cm ・ 26ページ
 絵を一瞬見ただけで、読者を絵本の世界に引き入れてくれます。
 絵本は、眺めるものだなとつくづく思います。
 文字だけを読み飛ばすなんてもったいないですよね。

 「お月さまってどんなあじ?」なんでしょう。
 私は、こんなことを思ったことはないのですが、ひとつも変な感じはしませんでした。これは、絵の威力と共に、月自体が不思議な雰囲気を持っているからかもしれません。

 カメやライオンやキリンやネズミたちが、力を合わせてお月さまの味見をしようとする話です。
 まんまるに描かれた月は、けっこうかわいいのですが、私は、なぜか妖しさを感じてしまいます。
 みんなが、お月さまに手の届きそうな所にくると、「ひょいっ」と少しだけ逃げるのです。
 何度もです!
 私は、妖しさを感じたことが、間違っていないと思うのです。
 
 ここに、男と女の関係を感じ取ってしまった人は……
 何度も傷ついた経験のある同士です!

 さてさて……「お月さまってどんなあじ?」だったのでしょうか?
 そして、味見をされたお月さまは、どうなってしまったのでしょう……

 とてもすてきな内容です。
 そして、最後のページの意味するものは……!?


  < おまけ >
 なんとも、あたたかみのある絵について調べてみました。
 立体感のある不思議な雰囲気を持つ絵は、どうやって描かれたものなのでしょうか?

 柔らかな紙を使った切り絵のような感じもします。
 けれども、水彩画なのです!

 それでは、「お月さまってどんなあじ?」の雰囲気は、どうやって出しているのでしょうか?
 それは、絵が描かれている「紙」がポイントになっています。
 素材そのものが答えです。
 けれども早合点をしてはいけません。
 作者が、効果を狙ってクシャクシャとシワをつけたものではないのです。

 描かれている紙は、どのようなものかというと……

 発行所のセーラー出版の方に話を伺いました!

 その紙は……
 牛乳パックを利用して自宅で作ったような再生紙や、玉子のパック用の紙が近いということです。
 ですから、おうとつは、紙自体についているのです!

 この紙は、絵の印象からすると和紙のような感じもしますが、日本にはないものだそうです。
 作者のミヒャエル・グレイニェクさんが来日した時に、ちょこちょこと絵を描く機会があったそうですが、日本にはミヒャエルさんの思うような紙がなかったために、すべて自分が用意してきた紙に絵を描いたということです。

 ミヒャエル・グレイニェクさんの作品は、紙の選択から始まっているのですね。

 いろいろと、親切に、親切に、親切に、教えてくれたセーラー出版の方に、絶大な感謝をいたします!

題名:お月さまってどんなあじ?

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