絵本 |
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□ 題名 | さむがりやのサンタ | ||||||||
□ 作 | レイモンド・ブリッグズ | ||||||||
□ 訳 | すがはら ひろくに | ||||||||
□ 発行 | 福音館書店 / 1974年10月 | ||||||||
□ サイズ | 26 x 22cm・32ページ | ||||||||
おなじみのサンタクロースの絵本ですが…… 見直してみてください! やさしくて、包容力があり、寛大な……といった言葉が、すんなりと当てはまるサンタクロース。 異論はないはずです。 でも登場するのは、「さむがり」の言葉が象徴するように、 「えっ! サンタなのに!?」 と思うようなサンタクロース。 クリスマスの日「さむがりやのサンタ」は…… いやいやながら、不機嫌に、しかたなく、プレゼントを配るための準備をして、雪や雨を嘆き、煙突のススに不機嫌になり、子どもがサンタのために置いておいたジュースに悪態をつき、ブランデーには頬をゆるめ、文句を垂れ流しながらプレゼントを配り終えるのです。 こういったギャップは、おもしろいし読者を楽しませるための狙いなのでしょう。 でも、それだけじゃないような気がするのです。 「さむがりやのサンタ」は、コマ割の絵本で、吹き出しでサンタの台詞が書かれています。 けれども試しに、この台詞を読まないで、絵だけをゆったりと眺めてみると…… あらあら不思議! このサンタクロース…… そんなに悪い奴ではないではありませんか!! サンタは、仕事を誠実に淡々と粛々と進めて終えています。 けっして手抜きはありません。 それに台詞がないと、不機嫌に見えていたサンタの顔も、一生懸命に仕事をしている顔に見えてくるのです。 そうすると、仕事を終えた後のサンタの、ビールやワインを飲みながらくつろいでいる姿が、みょうに暖かくて安らぎのあるシーンに見えてくるのです。 うがち過ぎかもしれませんが、これは作者からサンタクロースへのプレゼントであり、サンタクロースに対する愛情の表れなのかもしれません。 そしてこれこそが、作者の描きたかったことなのではないでしょうか。 |
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題名:さむがりやのサンタ |
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