解説によりますと、「『閻魔の失敗』という名称で呼ばれている一群の笑い話」であり「東北から九州までの日本本土全域に分布」しているお話だそうです。
そんなわけで私達は、同じようなお話をいろいろな形で見聞きしています。
その中の一つ「じごくのそうべい」は、このお話の絵本版です。
もしかしたら誤解していた人がいるかもしれませんが、関西方面だけに伝わるお話ではないのです。
絵本「じごくのそうべえ」の関西弁は、とても印象的ですからね。
ところで、花が咲き、空気がぬるみ、浮き立つ気分になる季節に、「何で地獄を見物しなくちゃいけないんだ!」と思っている人はいませんか?
けれども進学、進級、就職……結婚??? の季節だからこそ、地獄見物なのです。
主人公は、なまけ者の軽業師、歯抜き師、山伏の三人です。
この三人が地獄に落とされるのですが、タイトルの「けんぶつ」という言葉通りに、なんなく地獄からこの世に帰ってきます。
そして、軽業師が言うのです。
「じごくったって たいしたことは ねえなあ」
恐い場所の象徴であるはずの「地獄」が、お花見をするための公園のように思えてきます。
勇気が出てきます。
新たな見知らぬ世界に旅立つ人に、大きな力を与えてくれるはずです。
しかしその後に、歯抜き師が言います。
「まったくじゃ。いきとるうちのほうが よっぽど じごくじゃ」
いいですね! いろいろと考えちゃいます。
地獄を笑い飛ばすことができるなら何でもできる!
というような前向きな気持ちになった上で、今後の新生活に挑んでいく覚悟を迫られる。
……なんていうことも考えられます。
でも、地獄から生還した三人のように、簡単に地獄を切り抜けていくための方法はあるのでしょうか?
それは、「じごくけんぶつ」を見れば分かるかもしれませんよ。
いろいろと演じることのできる楽しい紙芝居です。
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