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絵 本

 題 名 どろんこハリー
  ジーン・ジオン
  マーガレット・ブロイ・グレアム
  わたなべ しげお
 発 行 福音館書店 / 1964年3月
 原書発行 米国 / 1956年
 サイズ 31 x 22cm・32ページ
 映画のようなスタートです。
 タイトルが映し出される前に、何が起こるのかと期待を抱くような映像が静かに流れて、何かのきっかけでタイトルがバーンと出て、音楽がジャカジャカと流れて、完全に引き込まれてしまったところで、ナレーションや役者のセリフが入ってくるようなオープニングです。
 「どろんこハリー」も同じです。「なんだなんだ?」という感じで扉のページから始まります。バスタブに前足をかけた犬のハリーは、なぜかブラシをくわえています。
 ページをめくると、見開き全面を使ったタイトルのページがドドーンと出てきます。ハリーは、バスタブを後にして、ブラシをくわえたまま疾走しています。この辺で、テンポのいい音楽が流れてくるような気になります。ハリーの走りにせかされるようにしてページをめくると、やっぱりブラシをくわえたままのハリーが、階段を駆け下りていきます。
 そして、「ハリーは、くろいぶちのある しろいいぬです。」という文章で、本文が始まるのです。

 この間、1台のカメラが捉えた犬のハリーの映像を、編集なしの長回しで見ているような気がします。そして、「なんだなんだ?」の緊張感と、これからの展開に対する期待が重なってワクワクします。
 こんな流れが、とても気持ちいいのです。
 オープニングだけで、「楽しめるぞー!」と思ってしまいます。ですからこの後は、安心して「どろんこハリー」の世界に浸ることができるのです。

 ちょいと、ほめすぎのようですが、とりあえず読んで確かめてみてください。
 ハリーが、かわいいですよ!

どろんこハリー/名作絵本


 フルカラー判の「どろんこハリー」がありました。
 ただし、洋書だけで日本語版は、まだないようです。
 1956年に発行された「どろんこハリー」は、黒、緑、オレンジの3色刷りです。こちらの落ち着いた感じの表紙を見慣れていたので、しばらくは「なんだかヘンだな〜」なんて思っていました。今では、「これもいい!」と思っています。

 (表紙の他、本文中の見開き2Pも見ることが出来ます)

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