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絵本の読み聞かせ よみっこ



絵 本

 題 名 ラチとらいおん
 文・絵 マレーク・ベロニカ
  とくなが やすとも
 発 行 福音館書店 / 1965年7月
 原書発行 ハンガリー / 1961年
 サイズ 16 x 24cm・44ページ
 とても元気になる絵本です。
 「ラチ」は、「せかいじゅうで いちばん よわむし」の男の子です。
 この部分を読んだ時、ひねくれた大人の私は、「弱虫ってなんなんだ? それが分からないのなら弱虫だっていいじゃないか!」なんてことを思ってしまうのです。
 弱虫は、危険な言葉です。「弱虫だからな!」の一言で、他人を操ろうとする人間もいるのですから。

 だから犬が恐くて逃げ出しても、暗闇が恐くて暗い部屋に入れなくても、ぜんぜん問題ないと思うのです。こんなのが弱虫だったら、世の中には数え切れないくらいの弱虫がいるはずです。必要に迫られていないのなら、このくらいのことは、克服しなくたっていいと思うのです。
 でも、作者のマレーク・ベロニカさんだって、そんなことは分かっているのです。「よわむし」を少しでも読者に見やすくするために、犬や暗闇が出てきたのだと思います。
 問題なのは、ラチが友達からバカにされている上に仲間外れにされて、いつも泣いてばかりいることです。犬が恐くても、暗闇が恐くても、友達とうまくやっていたのなら、ラチには何も起こらなかったはずです。

 「ラチとらいおん」には、父親も母親も出てきません。ですから、小さな男の子のラチも読者も、自分自身でなんとかしなければならなくなるのです。そこで登場するのが「らいおん」です。「らいおん」は、ラチが「つよく」なるための指南役になります。きっとその「つよさ」は、「弱虫だからな!」の一言に惑わされることもないものだと思います。

 物語の中でラチは、力が強くなって、相撲にも強くなります。でも体の力は、犬や暗闇の問題と同じように、ラチにとっては、ささいなことでしかないはずです。「よわむし」だったラチが「つよく」なるためには、もっともっと必要なものがあったのですね。
 「ラチとらいおん」は、そんな大切なものを読者みんなに分けてくれる絵本です。
 最後・・・泣けますよ!

ラチとらいおん/名作絵本

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