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絵本

 題 名 ボクの穴、彼の穴。
 著 者 デヴィッド・カリ & セルジュ・ブロック
  松尾 スズキ
 発 行 千倉書房 / 2008年12月
 サイズ 20.6 x 14.4cm・64ページ
 アプローチの方法は、いくらでもある。
 そしてその方法は、どんな形であれ意味のないものなどありはしない。

 「戦争反対」に関することだ。

 笑いの中で、そんなことを訴えたっていい。

 「ボクの穴、彼の穴。」は、笑える。

 笑っちゃうくらいにバカバカしい。
 でもバカバカしいのは、「戦争」なんだっていうことを教えてくれる。

 やせっぽちで無精ヒゲのはえた「ボク」は、小さな穴の中に立てこもって戦っている。
 敵は、同じような穴にひそんでいる「彼」だ。

 最後に生き残った二人だけの、もしくは取り残されてしまった二人だけの、ギリギリの戦いだ!

 そんな戦いが続いている最中に、1回だけ登場する人たちがいる。
 「勲章をつけた偉い人」だ。

 見開き右側のページで、太った二人の「勲章をつけた偉い人」が、ワイングラスを片手に談笑している。
 左のページでは、小さな穴の中で、銃を抱えてうずくまる貧相な「ボク」が、ただじっと雨に打たれて耐えている。

 このシーンを忘れないようにしよう!


 「戦争はしたくないよ」「戦争はやめようよ」と、ほんとうに考えているのなら、思い続けるだけのことでも無駄じゃない。

 「思う」ことは、スタートなんだと考えている。
 そしてどんな時にでも、強く強く「思い続ける」ことは、とんでもなく難しい。
 「勲章をつけた偉い人」を見ていて、その思いがまた大きくふくらんだ。


 そしてラストシーン。
 戦争を終わらせることの難しさを考えさせられる。

 「投げ出された2つのプラスチックのビン」は、お互いの穴の中に入るのか!?

 ビンの軌跡と描かれている位置は、そうあってほしいという作者の「思い」を表しているのに違いない!

 その「思い」を実現するためには、私たちも強く強く「思い続ける」ことが必要なんだ。

題名:ボクの穴、彼の穴。

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