圧倒的な力……
表紙は、まだ落ち着いて眺めていた。
見返しと扉で体の中がざわめき始める。
扉をめくり、いっきに緊張が高まる。
その後、息をつくことができないくらいの緊張を保ったまま、裏表紙にたどり着いた。
絵本に限らず表現されたものに対した時は、世間の評判などに左右されることなく、自分の感受性や想像力を総動員させて、その作品を体の中に迎え入れようと思っている。
それが鑑賞するということであり、読み取るということだと思うからだ。
しかしごくまれに、想像を巡らしたりする前に、作品の力に圧倒されて打ちのめされてしまうことがある。
ボクサーが、試合開始のゴングが鳴ったのかどうかも分からぬ内に、カウンターをもらってノックダウンをしてしまったようなものだ。
そんな時、マットに顔をうずめたような状態で、
「あ〜、いいな……!」
などということを、アホみたいな顔をして呟いてしまう。
この絵本もそうだった。
ただし、このように打ちのめされた時は、ノックダウンしただけでは終わらない。
体の中に、刻み付けられるものがあるからだ。
しばらくして、気持ちを立て直しながら思う……
「戦争は……いけない……!」
これだけでいい。
それにしても……絵の迫力に感動!
そんな絵を、文章が美しいメロディを奏でるように、静かに支えている。
しかしこの文章も、静かだからこそ、絵と相まって読者に迫ってくるようになっている。
|