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絵本

題名 バスにのって
荒井 良二
発行 偕成社 / 1992年5月
サイズ 23 x 25cm・32ページ
 「バスにのって」なのに……バスに乗っていない!

 でも、しかたないのだ。  乗れなかったのだから……


 砂漠の中にあるバスの停留所。

 掘立小屋の中でバスを待つ男が1人。

 お日様が、まだ低いところにある時間……

 5分が経ち…10分が過ぎ…1時間…2時間……

 お昼になり…お日様が傾き始め……

 お日様が沈み…お月様が顔を出す……

 翌朝になり…お日様が上り……

 バスがくる……?!

 (結末が感動! ぜひ手に取って確認してください)


 このようなことは……よくあることだ!

 私も砂漠の町で、バスを待っていたことがある。

 朝一番でバス乗り場に行く。
 集まった人たちは、他人に割り込まれないように、ピタッと体を密着させて並ぶ。
 砂漠の町だから、ものすごく乾燥している。
 それでも密着していると、汗が出てきて体臭も強くなってくる。

 そんな状態のまま、けっこうな時間並ぶのだけれども……
 バスは来ない。

 そのうちに、どこからか今日はバスは来ないようだという情報が流れてくる。
 するとバスを待つために並んでいた人たちは、文句を言っていたかどうかは分からないけれども、
 叫んだり怒ったりする様子もなく、三々五々散らばっていく。

 静かになったバス乗り場には、異国から訪れた旅人が、呆然として疲れた顔で立ち尽くしているのだった……

 そんな日が、3〜4日続いたはずだ。

 あの頃……
 待つのには慣れていた。何時間でも待てた……

 待っている時に、物思いにふけるのが好きだった。
 風に吹かれているのが好きだった。
 その土地の匂いに包まれているのが心地よかった。
 瞬く間に時間は過ぎていく。
 待っている時の読書も最高だった。
 日常生活では書いたことがない日記を書く時間にもなった。

 しかし……

 今はもうダメだ!
 とっくの昔に、元に戻っている。

 5分待つのが限度だ。

 都会というのは、おそろしいところだと思う……

 

題名:バスにのって

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