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絵本

題名 ボールのまじゅつしウィリー
アンソニー・ブラウン
久山 太市
発行 評論社 / 1998年1月
サイズ 22 x 21.8cm・32ページ
 不思議なことは、不思議なことのまま受け入れればいい。
 その時、メルヘンの扉が開かれるのだから。

 でも、不思議なことを不思議なことのまま受け入れさせることは、なかなか難しいことだ。

 そんな難しいことを、たやすいことのように、さらりと見せてくれるオープニングが、とても気持ちいい。

 きっと私たちは、そこで魔法にかかってしまうんだ。

 だから、その後にどんなことが「ウィリー」に起こっても、不思議だなんて思わない。

 ただ……ワクワクするだけだ!

 そして、いつのまにか気付くんだ。

 「私にだって、できるかもしれない!」


 「ボールのまじゅつしウィリー」は、そんなすてきな絵本です。


………………………………………………………………………


 児童館でのおはなし会が終わった後に、2年生の女の子が、「これ読んで」と持ってきたのが「ボールのまじゅつしウィリー」でした。

 「この本、大好きなんだ」と言う口ぶりが、何度も何度も1人で繰り返して読んでいるような感じでした。

 その本は彼女のものではなかったのですが、大切なものを扱うようにして差し出した仕草も、そんな印象を持った原因でした。

 でも私が読み始めると、初めて見聞きするような反応をします。
 私は、そんな彼女を見て、なおさら本当にこの絵本が好きなんだなと感じました。

 私は、そんな絵本を「読んで」と持ってきてくれた彼女と共に絵本の内容にも心を動かされながら読み進み、そして読み終えました。

 そうしたら……「もう一度」……

 私は、また読み始めました。

 そして2回目は、2人でいくつもの発見をする場になりました。
 不思議なことを、たくさん見つけました。

 けれども、「どうして?」という言葉を使ったとしても、その「どうして?」を一生懸命に考えることはありませんでした。
 不思議なことを見つけたということ自体が、とっても素晴らしいことだったからです。

 それは、大自然の絶景を見て、なぜ美しいのかを考えないのと同じことです。

 それに私たちは、この時たっぷりと「ボールのまじゅつしウィリー」の魔法にかかっていたのだと思います。

 私の中に、こんなすてきな絵本と、すてきな思い出を置いていってくれた彼女に感謝です。


題名:ボールのまじゅつしウィリー

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