絵本 |
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□ 題名 | どうして? | ||||||||
□ 文 | リンジー・キャンプ | ||||||||
□ 絵 | トニー・ロス | ||||||||
□ 訳 | こやま なおこ | ||||||||
□ 発行 | 徳間書店 / 1999年5月 | ||||||||
□ 原書発行 | 英国 / 1998年 | ||||||||
□ サイズ | 29.5 x 22.5cm・25ページ | ||||||||
小さな女の子リリーの「どうして?」攻撃が炸裂します。 一日に何回も……なんてもんじゃありません。いつでも、どこでも、朝から晩まで、リリーは、分からないことや納得がいかないことがある度に、「どうして?」を繰り返すのです。 なぜか母親は一度も登場しないで、リリーの「どうして?」に、てんてこまいするのは、とても優しそうな父親です……ちょいと脇道にそれますが、この家ではお父さんが、料理、買い物、「よみっこ」と、何でも一人やっているので、父親と娘の二人暮しかもしれません。前掛け姿も、よく似合っています…… どんなに出来た優しいお父さんでも、リリーの「どうして?」攻撃は、頭を抱えてしまうほどの悩みの種のようです。 リリーの「どうして?」は、それに答えなければならない人にとって、質問ではなくなります。まさしく攻撃です。 この威力のある「どうして?」攻撃が、ある日突然、リリーを地球のヒーローにしてしまうのです。 すごいですね〜! この絵本の文を書いたリンジー・キャンプさんは、献辞(本の作者や発行者が、その本を誰かに捧げたりする時に記す言葉)として「ローラへ。どうして? どうしてもだよ」と一言だけ書いています。 そして絵本の最後は、お父さんのセリフなのですが、「どうしてもだよ、リリー。とにかく そうなんだ。」で終わっています。 リンジー・キャンプさんの娘さんに対する思いが、ヒーローになるリリーに表れているような気がして、さらに、いいな〜と思うのです。 ―――――――――――――――――――・―――・―・ 児童館で、よみっこしました。 もちろん私は、リリーの父親の気持ちになって読み進めました。 「こんなに『どうして?』を繰り返されたら、たまんないよな〜、でも、かわいいんだよな〜」という感じでしょうか。 よみっこの途中で、一人の男の子が、「どうして、どうしてって、しつこい!」と言いました。私は、「そうか、これだけ繰り返されたら、同じ子どもでも、しつこいと感じるんだ」なんてことを思っていました。そうしたら、女の子からも「何回も、しつこい!」という声が上がりました。 私は、「そんなに、しつこいって言うなよな〜」「知りたいんだから、しょうがないじゃないか!」と思っていました。 不思議なことに、いい大人の私は、いつのまにか父親からリリーの気持ちになって、この絵本を読んでいたのです。 こんなことがあるのも、よみっこの楽しさかもしれませんね。 |
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題名:どうして? |
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