絵本 |
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□ 題名 | ギャバンじいさん | ||||||||
□ 作 | 舟崎 克彦 | ||||||||
□ 絵 | 井上 洋介 | ||||||||
□ 発行 | パロル舎 / 2006年10月 | ||||||||
□ サイズ | 26 x 19cm・32ページ | ||||||||
冷たいけれども、美しく、やさしい雪。 そんな雪を、絵本の中で感じてみたいと思いました。 物語は、「山はこんやもふぶきです」のひと言から始まります。 たとえ吹雪だったとしても風が止みさえすれば、雪はゆらゆらと舞い落ちて静けさを取り戻すはずです。 降り続いた雪は、地上の何もかもを白一色におおいつくします。 真夜中になって雪はやみ、月が顔をのぞかせます。 降り落ちてくる月の光は、雪を銀色に輝かせます。 こうなると、頭の中はメルヘンで埋めつくされてきます。 けれども「ギャバンじいさん」の雪の夜の様子は、ちょいと違っていました。 美しく降り積もった雪をほじくり返して、隠されていた紙屑やタバコの吸殻や空き缶などを取り出してきたのではないかという印象があります。 そして、「ほら、これを見ろ! これが美しいと思っていたものの正体だ!」なんてことを言っているのではないかと感じるのです。 それでも、「ギャバンじいさん」の中で降っている雪は、汚れきっちゃいないはずです。 ラストシーンの見開きページは、ギャバンじいさんの住んでいる山小屋を含んだ山の風景です。 さまざまな出来事があった妖しい吹雪の夜が過ぎて、朝も過ぎて、すでに雪がやんでいる昼になっています。 白一色の雪の上に、昨晩、ギャバンじいさんと関わりのあったウサギとキツネとクマの足跡が残っています。 その見開きページの光景を見て、雪の下には春を待つ植物たちも、間違いなく眠っていることを思い出しました。 そして、なんだかちょっぴりと落ち着いてきました。 たまらなく気に入った一冊です。 ぜひみなさんにも、じっくりとながめてもらいたいです。 |
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題名:ギャバンじいさん |
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