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絵 本

 題 名 はなのすきなうし
  マンロー・リーフ
  ロバート・ローソン
  光吉 夏弥
 発 行 岩波書店 / 1954年12月
 原書発行 米国 / 1936年
 サイズ 20.5 x 16.5cm・70ページ
 日本で1954年に発行されたこの絵本は、縦書きで「むかし― すぺいんに、」という文章で始まっています。一瞬「すぺいん?」と思って、文字を見つめてしまいました。
 私は、縦書きで平仮名の「すぺいん」に、たまらなく新鮮さを感じてしまいました。そして、50年前に「むかし」と言っているのだから、もしかしたら「すぺいん」はヨーロッパの「スペイン」じゃなくて、現在の世界地図に記されることのなくなった「すぺいん」なのかもしれない、なんてことも考えてしまいました。
 主人公の牛「ふぇるじなんど」も平仮名で、この絵本には片仮名は一つも使われていません。ひとつも古くさくない絵本ですが、こんなところに時代を感じてうれしくなりました。

 「ふぇるじなんど」は、子どものころから花の大好きな牛です。大人になっても「ふぇるじなんど」は、ひとりで木陰に座って花のにおいをかいでいることが気に入っていました。でも他のすべての牛たちは、闘牛場で闘牛士と戦うことが一番の望みなのです。

 それなのに、この「ふぇるじなんど」が、闘牛場で戦うことになってしまうのです。
 観客で埋め尽くされたスタジアム。殺風景で殺伐とした闘牛場。その戦いの場に姿を現す「ふぇるじなんど」。けれども「ふぇるじなんど」は、闘牛場の中央に座り込んで、花のにおいをかぎ始めます。の〜んびりとです。

 戦わない「ふぇるじなんど」の姿は感動的です。
 スタジアムの喧騒が遠くなって、闘牛場の中だけが静かになったような気がします。
 でも「ふぇるじなんど」は、「ふぇるじなんど」で居ただけなのだと思います。ただ、切羽詰った状況の中でも、自分を見失うことなく戦わなかった「ふぇるじなんど」に拍手を送りたくなるのです。

  □ 「はなのすきなうし」に関する話

はなのすきなうし/名作絵本

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