絵本 |
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□ 題名 | いっぽんみちをあるいていたら | ||||||||
□ 作 | 市居 みか | ||||||||
□ 発行 | ひかりのくに / 2009年9月 | ||||||||
□ サイズ | 26 x 22cm・2ページ | ||||||||
一本道を歩いているのは…… おそらく、おつかいに行った帰りの男の子。 手に持った買い物かごの中から、ニンジンが1本だけ頭を覗かせている。 ……余談だけれども、白地に赤いボーダーが横に4〜5本入ったズボンが、なんだかおかしい。 楳図かずおさんのシャツのズボン版だ。 しばらくの間、この柄が頭から離れなかった。 ところで…… 一本道なら、小さな男の子だって道に迷う心配はない。 しかし、もし前方から怪しげな人が向かってきた時は、どうすればいいのか? その怪しげなのが、人だったらまだしも、 妖怪だったら…… お化けだったら…… 何が向かって来たとしても、一本道だからどうすることもできない。 もし逃げるなら、回れ右をして一目散に走るだけだ。 ただし一本道だから、その怪しげなものよりも、速く走ることができなければ、逃げ切ることはできない。 だからたいていは、どんなに恐くて胸が破裂しそうになっても、怪しげなものに向かっていかなければならない。 逃げられないんだ! 赤いボーダーのズボンをはいた男の子は、したり顔をしたつまらない大人のように、むりやり一本道に人生をからめるようなことを考えやしない。 でも、自分にとって最も安心できる「家」に帰るためには、前へ進むしかない。 逃げられないということは同じだ。 そうして前へ歩いて行った男の子は、最後、「たすけてー!!」 と叫びながら泣き出してしまう。 でも泣こうがわめこうが、前へ進んでよかったんだ。 裏表紙に、男の子の笑い顔が見える。 男の子は、この日体験した不思議な出来事を、前に座っている母親に話しているに違いない。 もう一度、胸をドキドキさせながらだ。 テーブルの上で湯気を立てているのは、夕食のために作られた、ニンジン入りのカレーかシチューなのだろう。
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