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絵本

 題名 かえるのひこうせん
 作・絵 長 新太
 発行 佼成出版社 / 1979年3月
 サイズ 24.5 x 21.5cm・32ページ
 カエルが飛行船を作るのです。しっかりと完成をさせて空に飛び立とうとするのです。

 「そんなバカな!」
 「カエルが飛行船を作れるはずがないじゃないか」
 「カエルが空を飛べるはずがないじゃないか」
という人がいるかもしれません。

 そうなんです。現実の世界だけではなく、絵本の世界だってそんなに甘くはないのです。25年も前に出された絵本でも、やっぱり甘くはなかったのです。

 カエルが、ようやく完成させた飛行船に乗って飛び立とうしたその時です。邪魔が入ってくるのです。そして、いろんなことがあって飛ぶことができなくなります。それどころか、飛行船を壊されてしまいます。
 カエルは、泣きます。でもカエルは、また、いく日もかけて飛行船を再生させるのです。

 すばらしい! 拍手をしたくなります。「めでたし、めでたし」ということで、すっきりと話を終わらせたくなります。
 でもまた、最初と同じように邪魔が入ってくるのです。そして、ここで絵本は終わってしまいます。

 「あ〜、なんてきびしいんだろう!」と、ため息がでます。ちょいと落ち込みます。「カエルくんは、もう一回飛行船を作り直す気力が残っているだろうか?」なんてことも考えます。

 なんだか落ち着かないままに「カエルくん、がんばれよ」と思いながら、2〜3度「かえるのひこうせん」をながめ直しました。
 そして、ようやく気付いたのです。きっとこの物語は、奥付のページが最後じゃなくて、ラストは表紙&裏表紙に続くのだろうと。
 そうして見ると、表紙のカエルくんの表情がよけいにすてきに見えてきたのでした。

 深刻そうな内容の紹介になってしまいましたが、邪魔が入ってくるタイミングのよさなど、あまりにもすばらしくて思わす笑ってしまう絵本です。

題名:かえるのひこうせん

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