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 題名 ぺこぺこライオン(こどものとも598号)
  きむら よしお
 発行 福音館書店 / 2006年1月
 サイズ 19 x 26cm・32ページ
 ライオンは、狩をすることが仕事だ。

 だから当然「ぺこぺこライオン」だって、獲物を狙う。
 いやいや、「ぺこぺこ」だからこそ獲物を追いかける。

 そんなライオンが、狙いを定めたのは「ラクダ」だ。

 しかしラクダの仕事は、ライオンに食べられることではない。

 だから当然ライオンに追いかけられれば、生きるために「必死」で逃げる。

 ライオンだって、食べなければ死んでしまう。
 だから、生きるために「必死」になって追いかける。

 なりふりかまわぬ「必死」さは、時によると第三者(読者)の笑いを誘う。

 だから「ぺこぺこライオン」は、とても楽しい。
 たくさん笑える。

 けれども、それだけじゃない。

 ラスト前の見開きページ。

 見つめ合うライオンとラクダの顔のアップ。

 見ようによって、友情が芽生えたような……悟りを得たような……満足したような……いずれにしても穏やかな二匹の表情。

 そして、ラスト。

 朝の草原の中。
 追う「ライオン」と逃げる「ラクダ」が、相当な距離を保ちつつ、じっと向かい合う。

 間を吹き抜ける「あさの しろい かぜ」。

 その風の中に舞う、1匹の黄色い蝶。

 一瞬、生死をかけた鬼ごっこの緊張感が自然の中に紛れ込み、安らかな静寂が辺りを包み込む。

 さてさて、この2つのシーンを、どのように受け止めるのか?
 そして、この先はどうなるのか?

 それは、それぞれの読者自身のお楽しみです。

―――――――――――――――――――・―――・―・

 「ぺこぺこライオン」は、古本屋さんに100円で売っていました。

 100円で、こんなに楽しめるなんて、なんてラッキーなのでしょうか!

 *「ぺこぺこライオン」は、図書館や古本屋でおさがしください

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