絵本 |
|||||||||
□ 題名 | ツチオーネのおんがえし | ||||||||
□ 文 | もりた かず | ||||||||
□ 絵 | 軽部 武宏 | ||||||||
□ 発行 | アスラン書房 / 2010年11月 | ||||||||
□ サイズ | 27.6 x 21.6cm・32ページ | ||||||||
ツチオーネ…… なんとも良い顔をしている。 惚れ惚れする。 シャリン! と引き締まって甘いところが見当たらない。 いにしえの武士も、まさしくこのような面立ちをしていたのではなかろうか。 それに比べて登場する悪人たちの顔つきは、悪いったらありゃしない。 巷に生息する欲にまみれた人間の表情を、寄せて集めて作り出したような顔だ。 ここで…… 「あ〜〜〜」 と嘆息してしまった。 それは、ツチオーネが人間ではないことに気付いたからだ。 自然の恵みであるツチオーネは、りりしく引き締まって端正な顔つきをしているのに、登場する多くの人間は…… でも、しかし…… たった一人だけいたのです。 欲にまみれることなく自然の恵みを一途に愛し続けた、すがすがしい顔をした男が。 そしてタイトル通り、ツチオーネは、その男のために…… 愛し続ければ、自然は裏切らない…… ……今の状況では、なかなか言いづらい言葉だ。 けれども、信じて愛し続けるしかない。 復興、再生は、人間の力だけでは実現できない。 自然の力が、間違いなく必要だ。 ラストシーンで、「ツチオーネ」が泣いているように見えるのは、気のせいだろうか。 そんなことになっては絶対にいけない。 (2011年8月16日記)
|
|||||||||
題名:ツチオーネのおんがえし |
Copyright © 2010 [chaury] All rights reserved.