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絵本

 題名 ウシバス
  スズキコージ
 発行 あかね書房 / 1995年4月
 サイズ 26 x 19cm ・ 24ページ
 あ〜〜〜感染してしまった。

 「ウシバス、ウシバス」

 何をしていても頭から離れない!

 「ウス、ウス」

 困ったー!

 「ウシバス、ウシバス……ウス、ウス」

 切り傷の痛みが、際限なくヅキヅキとし続けるように、
 今、私の頭の中で……

 「ウシバス、ウシバス……ウス、ウス」

 ……が、くり返し、くり返し、鳴り響いているのです。

 「ウシバス、ウシバス……ウス、ウス」が、どんどんと広がって、
 体中が「ウシバス」に冒されてしまいそうです。

 「ウス、ウス」

 これは、どう考えても病原菌です。

 「ウシバス、ウシバス」

 こんな絵本が、世の中に出回っていてもいいのでしょうか?

 「ウス、ウス」

 その牛は、人を背中に乗せて、いずこかへ運んでいくことを生業としているようです。
 ですから、「ウシバス」なのです。

 仕事なのですから、その牛は、ウシバスであることに徹しなければなりません。
 疑問を持っては、いけないのです。

 でも、牛の顔を見ていると、ウシバスとしての仕事を正しく忠実に追行することに、疑問を感じているような気がします。
 その疑問のために、ウシバスの仕事や言葉にゆがみが生じて、メチャクチャなウシバスになっていくのです。

 でも、最後に牛は、何かを吹っ切ったようです!

 走り去っていく牛の大きな尻は……
 たくましさにあふれて、すがすがしささえも感じるのですから。


 こんなことを考えてしまったのは、私の頭が、「ウシバス」の病原菌に冒されてしまったからです。

 こんなことを「ウシバス」の牛の前で言ったら……

 「能書きなんてたれていないで笑えばいいんだ!  ウスウス」

 ……と言われて、蹴り倒されてしまうかもしれません。

 絵本の「ウシバス」は、とにかく余計なことを考える暇も与えずに、笑わせてくれるのですから。

 楽しんだ後に、「ウシバス」の病原菌に冒されてもいいという人は、読んでみてください。

 「ウスウス!」

題名:ウシバス

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