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絵本

 題名 わらっちゃった
  大島 妙子
 発行 小学館 / 2006年8月
 サイズ 29 x 21cm・34ページ
 「わらっちゃた」の表紙には、輪郭も頭も入りきらないほどの大きな顔が、一面に描かれています。
 けれどもその顔は、間違いなく笑っている顔ではなく、この世の怒りをすべてかき集めて飲み込んだら、こんな感じになるのではないかという表情をしています。

 そして……ついこの間知ったばかりなのですが……顔の中で油が浮きやすいという「Tゾーン」の鼻筋に、まったく可愛げのない「わらっちゃた」の文字が、まるで「オラ、オラ、オラー!」と威嚇をしているような感じで黒々と書かれています。

 もしかしたら「ひらがなを読み違えたのだろうか?」と思ってしまうほど、表紙の雰囲気とタイトルの意味がアンバランスになっています。

 もう、すばらしい表紙です!

 「何なんだ?」の思いがふくらんで、早く絵本の中を眺めたくなってきます。

 けれども中身を見なくても、裏表紙を見るだけで納得するはずです。
 そこには、表紙と同じように、輪郭も頭も入りきらないほどの大きな顔が描かれています。
 けれどもその顔は、これ以上ないと思うくらいの笑顔なのです。

 もう、すばらしい裏表紙です!

 これだけ説明すれば、「わらっちゃた」のストーリーは想像できるはずです。
 そうです。火山が噴火するほどの怒りを持ってしまった人が、最後には大笑いする話です。

 でも当然のことながら、絵本を眺めてみなければ、「わらっちゃた」の楽しさを味わうことはできません。

 表紙と裏表紙の楽しさは、導入でしかないのですから。

「わらっちゃた」の中で最も印象的だったのは、奥付の位置を、意図的にずらすことによって仕組んだと思われるラストシーンです。
 こんな心配りが、たまらなく嬉しくなってくる1冊です。

 もしかしたらタイトルを、油の浮きやすい「Tゾーン」に書き入れたのも、何か意味があるのかもしれませんよ……

題名:わらっちゃった

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