絵本 |
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□ 題名 | ゆうだち | ||||||||
□ 作 | あき びんご | ||||||||
□ 発行 | 偕成社 / 2012年6月 | ||||||||
□ サイズ | 26 x 22cm・32ページ | ||||||||
「ゆうだち」だなんて、味も素っ気もない題名だな……などと思う。 けれども、そう思わせたかったのかもしれない。 表紙をめくってからの驚きの内容を際立たせるために…… 夕立のあったある日、オオカミに一対一で向き合うことになってしまうヤギ。 この後、ヤギが壊れていくことになるのだけれど、その様の凄まじさ! 血走り見開いたヤギの目。 重心が定まっていないような体の動き。 このヤギの壊れ方が、尋常ではない! 具体的に絵に描きようはないのだけれども、ヤギから狂気が溢れ出し、周辺を埋め尽くしているのが分かる。 内容を説明してしまうと…… ヤギがオオカミを騙すことに成功して助かったという話になっている。 だからヤギが壊れていくのは、ウソであり演技だったということになる。 しかし…… ヤギは本当に壊れたのだと思う。 オオカミが去っていくまでの短い間だけれども、あのヤギの姿が演技だったとは思えない。 騙そうとして演技をしたのでは、騙しきることはできない。 あの場面では、ヤギは本気でなければ助からなかったはずだ。 夏のうだるほどの暑さが犯罪をおかす引き金になった、というような話が、どこかにあったような気がする。 それと同じように、激しい夕立の音が、ヤギを狂わせる引き金になったのかもしれない。 ヤギの危険な状態が続く中、激しさが増していく夕立。 なんとかしなければ命が危ない! ヤギの緊張は極限に達し…… 命を守るためならば、「つかの間」本当に壊れることだってできる。 人の底力と不思議さを感じずにはいられない。 人間、バンザイ! ……ヤギですけどね…… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この話は、カリブ海の島国、トリニダード・トバゴ共和国に伝 わる民話がもとになっているそうです。
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題名:ゆうだち |
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