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楽しい時間を過ごすということは、家庭内での読み聞かせでも共通する大切な部分です。
ただし、楽しむといっても楽しみ方は、いろいろとあります。読まれる本を純粋に作品として楽しむということもありますし、読み聞かせの時間を楽しむということもあります。
けれども作品を楽しむということと、読み聞かせの時間を楽しむということは、2つに分かれるものではありません。
その時々で、いろいろな形で混ざり合います。作品を楽しむことに重点を置く場合もあれば、読み聞かせの時間を楽しむことを中心に考える場合もあるということです。
読み聞かせの時間を楽しむということは、「コミュニケーションをしよう」のページでも述べたようなことです。以下にコピーしておきます。
「極端な言い方をしてしまえば、読み手と聞き手の両方が、本の内容をすぐに忘れてしまったとしても、一緒に過ごした時間を幸せなものだと感じて、声や肌のぬくもり覚えていたなら、それはすばらしいことだと思います」
例えば、子どもたちの遊び場に、読み手の人が入り込んで、読み聞かせが始まります。読んでいる本に興味のある子どもだけが集まってきて、興味のない子どもは他の遊びをしているというような読み聞かせの会です。
勝手に遊んでいるようでも、子どもたちは、読み聞かせの邪魔はしないようにしていますし、読み聞かせている絵本に背中を向けていたって、ちゃんと意識をしています。次の本が興味のありそうなものだったら、今度は、読み手の側に寄って来たりします。時には、本をきっかけにして、いろんな質問やかけ声が上がって盛り上がったり、周りにいる子どもたち全員がシ〜ンと静まり返って絵本に注目したりします。
子どもたちの遊び場の中で、読み聞かせの時間だけは、本が中心になって楽しいひと時が過ぎていくのです。
ちょいと個人的な好みを書いてしまいましたが、こんな読み聞かせの会が私は大好きです。
きっと子どもの頃に遊び場になっていた原っぱに、自転車で来てくれた紙芝居屋さんの雰囲気が好きだったからかもしれません。紙芝居屋さんは、紙芝居自体の内容がおもしろかっただけではなく、みんなといっしょに紙芝居を見たり駄菓子を食べたりすることや、紙芝居のおっちゃんと話をすることも楽しかったのです。
紙芝居の内容は、今では、まったく覚えていないのですが、楽しくてかけがえのないひと時だったことは確かなのです。
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