絵本 |
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Amazon.co.jp | □ 題名 | しわ しわ しわ… | |||||||
□ 作 | 井上 洋介 | ||||||||
□ 発行 | 文溪堂 / 1995年5月 | ||||||||
□ サイズ | 26 x 21cm・32ページ | ||||||||
タイトルの「しわ
しわ
しわ…」は、人の顔などに刻まれる「皺(しわ)」のことです。 だから、本文の最初のページには、 「としをとると しわ しわ しわ」という文章が書かれています。 その下に、おじいさんの顔のアップです。 全体的に黒ずんだ色使いで、最初は暗さを感じてしまいます。 まっ黒い服を着たおじいさんの顔などは、木が燃え尽きた後にできる炭と灰をすり込まれたような色をしていて、病人のようです。 両耳の上の灰色の髪の毛も、ぽちょぽちょとしか生えていなくて、てっぺんに毛はありません。 でも……なのです! おじいさんの目は、2匹の尺取虫が、精一杯背中を丸く持ち上げたような形で並んでいて、おもいっきり微笑んでいるように見えます。 肝心のしわは、ちまちました細いしわじゃなくて、図太くて深そうなのが、どうだっ!という感じで、しわっ! しわっ! しわっ!と並んでいます。 どれもが力強くて、「しわがあって申し訳ない」なんていう感じは、微塵もありません。 なんだか「ニカニカ、カカカッ……」というような、おじいさんの愉快な笑い声が聞こえてきそうです。 だから思うのです。 人の「しわ しわ しわ…」は、悪くない! この思いは、ページをめくって行くごとに深まっていきます。 だって、100円玉が「しわ しわ しわ…」になっているのを見たって、力強そうな感じはしないし、いいな〜とも思いません。 自動車やイスや電信柱が「しわ しわ しわ…」になったって、同じことです。 たとえ、あの美しく偉大な富士山が「しわ しわ しわ…」になったとしてもです。 やっぱり「しわ しわ しわ…」は、人が一番よく似合います。 でも、すてきなしわを顔に刻みつけることは、そう簡単なことではないんですよね。 「よみっこ」の時、子どもたちがツルツルの顔で大笑いしているのを見た後で、そんなことを頭の片隅で考えたのでした。 |
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題名:しわ しわしわ … |
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